現代は、1日に受け取る情報量が江戸時代の1年分とも言われます。
SNS、ニュース、広告、自己啓発──どれも有益そうでありながら、私たちの“脳の余白”を奪っていくのです。
気がつけば、考えることは増えているのに、「決める」力や「感じる」力が鈍ってきた。
そんな実感があるなら、今こそ「思考の選択ダイエット」の出番かもしれません。
情報が多すぎると、脳は「選べない」
情報が多ければ選択肢も増え、よりよい判断ができる──そう思いがちですが、実際の脳は逆に混乱します。
これは「情報オーバーロード」と呼ばれる状態。
脳の前頭前野(意思決定や計画に関わる部位)は、選択肢が多いと迷い、結果的に判断が遅れたり、誤った選択をしてしまうことがあります。
たとえば、ランチメニューが3つだけならすぐに選べても、30個あると迷ってしまうように。
情報の多さは、選択肢ではなく“雑音”にもなりうるのです。
思考を絞ることで、直感が蘇る
脳に余白ができると、直感的な気づきが戻ってきます。
なぜなら、直感とは「すでに知っていること」にアクセスする力だからです。
情報で外側を満たすよりも、自分の内側にスペースを空けることで、
感覚や経験とつながった“本来の判断力”が蘇るのです。
具体的には、朝にSNSを見ない、YouTubeを連続視聴しない、読書も“今の自分に必要な一冊”だけに絞るなど、
思考と感覚を解きほぐす「余白の時間」を意識的に設けてみましょう。
インプットを減らすことで、アウトプットが研ぎ澄まされる
不思議なことに、情報を減らすと逆に「何を伝えたいか」が明確になります。
これは脳が“限られた資源の中で最適解を導こうとする性質”によるものです。
たとえば、企画や文章、プレゼンでも「制限があるほどアイデアが出る」という経験はないでしょうか?
これは脳が“本質”だけを選ぼうとする力が働いている証拠。
思考ダイエットとは、この「本質抽出」の練習でもあるのです。
毎日の中で「何を取り入れ、何を捨てるか」を意識するだけでも、
言葉選びや判断、行動が変わっていくでしょう。
情報制限で脳と腸がリンクする
さらに、情報の取り込みを制限すると、身体感覚──特に腸の反応がわかりやすくなります。
情報過多のときには、
・お腹が張る
・胃が重い
・便が出づらくなる
など、身体が「もう無理」とサインを出していることがあります。
脳と腸は迷走神経で密接につながっており、考えすぎ・詰め込みすぎはそのまま腸に現れます。
逆に情報を“減らす”ことで、腸がほっとして、体内が整うことも多いのです。
判断に迷うときは、まず身体に戻る。
これは“情報の断捨離”と“身体感覚の再起動”を同時に行うセルフケアでもあります。
まとめ:「減らす勇気」が、自由を取り戻す鍵
現代社会では、「もっと知ること」「多くを選べること」が“豊かさ”とされています。
しかし、本当に自由になるには、「何を減らすか」の選択こそが重要です。
情報も、選択も、予定も、関係も。
必要なものは、実はそんなに多くはない。
脳の自由度を上げ、集中力と直感を取り戻したいなら、
まずは“情報ダイエット”から始めてみましょう。