夜のジャーナリングで脳と感情を整える

日中の情報や感情が、頭の中でぐるぐると回り続けて眠れない夜。
「気持ちを整理したい」「考えを手放したい」と思いながらも、どこから手をつければいいか分からないまま、スマホを眺めて時間が過ぎていく——そんな経験、誰しもがあるのではないでしょうか。

そんなときに取り入れてほしいのが、“夜のジャーナリング”という習慣です。
書くことで脳の働きを「整理」に向かわせ、感情の詰まりをゆるめる“お片付けタイム”をつくる。それは、心身全体をやさしくリセットする“儀式”でもあります。

Brain Nexus Labでは、このジャーナリングを「脳・腸・皮膚」の感覚連携によるセルフケアのひとつとして提案しています。
今回は、ただの“日記”とは違う、思考と感情を調律する書く習慣についてお話しします。


書くことで脳が整理されるしくみ

書く行為が「考え」を“見える形”に変える

頭の中でぐるぐるしている思考は、形がありません。
でも、それを文字にしてノートに落とし込むと、“視覚化”されて整理が始まるのです。

これは「外に出してしまう」ことで、脳のワーキングメモリを空け、思考の再編成を促すという働き。
感情もまた、名前を与えられた瞬間に、少し距離を取ることができます。

「書くこと」は、脳にとっての“片付けボックス”のようなもの。
あれこれ溜まっていた思考や気持ちを、そこに一度入れて整頓する——それだけで、頭も心もずいぶん軽くなるのです。


腸が静かになると、深い感情が言葉に出てくる

日中は緊張や興奮で腸がこわばっていることが多く、感情にもフタがされがち。
でも夜になり、腸の動きがゆるんでくると、自然と**「本音」が浮かびやすくなります。**

そのタイミングで書くという行為を重ねると、思考の整理だけでなく、腸と感情の“対話”が始まるのです。
お腹の奥にあった違和感が、ふとした言葉になって出てくることも。

腸は“感情の倉庫”ともいわれます。
書くという行為を通じて、そこに眠っていた想いが、安全に外へ流れていく感覚が生まれるのです。


皮膚感覚が落ち着くと、書く手が整ってくる

夜のジャーナリングに欠かせないのが、「環境と触覚」。
たとえば、あたたかい照明、木の机、肌に心地よい衣服、好きなペン。
これらはすべて、皮膚からの安心感を通じて脳に“安全だよ”という合図を送ります。

この合図があるからこそ、脳はようやく「感情を開いても大丈夫」と判断し、深い整理モードに入っていく。

つまり、書く内容だけでなく“書くときの感覚”が、感情の解放を左右するのです。
だから夜のジャーナリングは、思考の整理であると同時に、皮膚を通じたリラックスセラピーでもあるんですね。

ジャーナリングを“感覚のルーティン”にする方法

決まりきったフォーマットよりも、“いま感じていること”を優先する

ジャーナリングと聞くと、「何を書けばいいの?」と身構える人もいます。
でも本来の目的は、「思考や感情の流れを“止めずに出す”こと」。
だからこそ、テンプレートより“今この瞬間の感覚”を信じることが何より大切です。

たとえば、「今日はなんとなく胸が重かった」「夕方、嬉しかったのに、それがすぐ消えた気がする」など、感情の“途中”でもいい。
むしろ、完結していない気持ちこそ、書くことで動き出すのです。

夜のジャーナリングでは、正しさや美しさよりも、「いま、ここに在る」ことを大事にして。
それが感情の血流を促し、脳の詰まりを溶かしてくれる鍵になります。


五感の記憶を書き留めることで、感情の余白が生まれる

「今日見た景色」「触れたものの質感」「香りや味」——
こうした五感の記憶をノートに残すと、思考中心の視点から、感覚中心の視点へと脳が切り替わります。

これは、情報の整理というより、“感情の回路をゆるめる”方法。
頭の中でまとまらない気持ちも、五感の風景と一緒に書くことで、じんわりと形を持ち始めるのです。

皮膚が覚えている風や温度、腸が感じていた心地よさや違和感——
そうした感覚の記憶にアクセスすると、無理にまとめようとしなくても、自然に「その日の答え」が浮かんでくることがあります。


書き終えたあとは“言葉を手放す”ことで統合が起こる

書くことで脳と感情が整理されたら、次は“手放す”時間。
ノートを閉じ、目を閉じて呼吸する。
静かに布団に入って、皮膚の感触に意識を向ける。
こうした「書いた後の余白」が、統合と回復の時間になります。

ここで重要なのは、書いた言葉に「意味づけ」しすぎないこと。
ただ、出てきたことを信頼する。そうすることで、脳と腸と皮膚が、それぞれのペースで癒されていくのです。

言葉は出した瞬間から、もう“過去のもの”になります。
だからこそ、書いたあとは安心して手放す。それが、感覚ベースのセルフケアとしてのジャーナリングの醍醐味なのです。


書くことで、脳と腸と皮膚に“安心の地図”を描く

ジャーナリングは「言葉による感覚の地ならし」

夜のジャーナリングは、単なる思考整理ではありません。
それは、脳と腸と皮膚が“今日の体験”を自分の中に統合していくプロセスでもあります。

書いた言葉は、自分の感覚の地図。
「今日はここが心地よかった」「ここで迷っていた」「ここで感謝が芽生えた」——
そんな地図が一枚ずつ増えていくことで、自分の内側に“安心の空間”が広がっていくのです。

この空間は、誰にも奪えない「感覚のホーム」。
疲れた日も、不安な夜も、そこに戻れば、必ず整い直すことができる。
ジャーナリングは、そんな内なる帰還地点を育てる習慣でもあります。


結び:静かに書くことは、自分に還ること

「今日、何があった?」
そう問いかけてみても、答えがすぐに出る日ばかりではありません。
でも、ノートを開いて、ペンを持って、手を動かすうちに、
心の奥からことばがにじみ出てくる——そんな夜もあるのです。

Brain Nexus Labが伝えたいのは、“書くことで感覚を呼び戻す”という視点。
脳が片づき、腸がゆるみ、皮膚がほっとしたとき、
あなたは本当の自分に少し近づいている。

夜の静けさとともに、「今日もよく生きたね」と書ける日が、増えていきますように。

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